大阪 泉北の二次林
大阪平野南部、堺市南部から和泉市にかけての丘陵地帯。都市化が進展した景観には、ため池や農地とともに、古くから人の利用を受けて成立・維持されてきた里山の二次林がモザイク状に残されています。
年末の一日、人為的な管理が弱まったこれらの森林を回ってきました。
堺市南区
堺自然ふれあいの森
南海線・和泉中央駅から西に5kmほど。すっかり景色がひなびていき、堺自然ふれあいの森の入口に到着。
面積1,600ヘクタールと、大阪府内でも数少ないまとまった里山環境が残る南部丘陵。2008年に開園した市民協働による里山公園を訪れました。 頻繁に自然観察会が行なわれているそうです。整備された歩道をたどってみました。
優占種はコナラ。
ときおり、色づいた葉が残っていました。
アベマキ 、クヌギ。
シイタケのほだ木が並んでいました。里山の循環利用を整備方針に取り入れて、間伐や落葉採取などが行なれているそうです。
アラカシ、スダジイ。
暖温帯に位置する泉北の潜在自然植生はこれらカシ・シイの常緑広葉樹林です。かつての里山の薪炭利用では、コナラやアベマキなどが短い周期で伐採され萌芽再生で維持されていましたが、利用が少なくなった現在は次第に照葉樹林化が進んでいると考えられています。
そしてこの森の主役のひとつ、シリブカガシ。ブナ科マテバシイ属の高木です。
「おじいさんの木、東のいっちん」の看板。「いっちん」はシリブカガシの地方名。
この樹種の自然分布は、本州(近畿地方以西)・四国・九州とされていますが、近畿では限定的で泉北は代表的な自生地です。乾燥した土壌や岩盤が発達した土地に生育するとされ、また萌芽力が高いことも知られています。この木も直径10ー20cmほどの8本が株立ちする樹形になっていて、かつて伐採して利用されたことがうかがえました。
シロダモ。
タブノキ。
カゴノキ。
イスノキ。
ヤマモモ。
大径木にはモニタリングの標識がついていました。
全体には明るい森。落葉時期ということもありますが、高木が混んでいる個所ばかりでなく開けた環境が多く見られました。
見はらし広場。標高は120mほど。ここから尾根筋を戻りました。
アカマツ。管理棟の展示では、1960年代ころまでこの山がマツ林であったこと、マツタケ採取が盛んであったことが地域の方々の証言として示されていました。植栽(たぶん)により再生をはかる区域もありました。
ヒノキも尾根筋にわずかに。
ネズミサシ。日当たりがよく乾燥した貧栄養の指標種。ときおり大きな木がありました。
カナメモチ。
カスミザクラ。
ホオノキ。整備区の看板。
タカノツメ。すでに落葉していましたが、かなり多く見かけられました。
サカキ。
ヒサカキ。
ハイノキ。
クロバイ。
クチナシ。
ネズミモチ。
ソヨゴ。
イヌツゲ、モチノキ。
アブラチャン。
モチツツジも優占種。春にはコバノミツバツツジとともに林床を彩るそうです。
クサギ、ムラサキシキブ。
開放地にはネザサが密生する個所も。
尾根から下ったところに「西のいっちん」。
和名の由来となった、へそ(尻)が窪んだ堅果。炒って食用になるそうで、分布には人為の影響も大きそうです。
この木は5本立ち。通直に伸びる姿が印象的でした。
フウの大径木。
ヤマハゼ。開放地に樹冠を広げていました。
カキノキ。
周辺の森が眺められました。2時間弱の散策、たのしみました。
美多彌神社
市街地に戻り、美木多地区にある式内社、美多彌(みたみ)神社に立ち寄りました。
拝殿へ向かう参道に沿って立派な森。
シリブカガシが多く見られるこの森は、府の天然記念物。
参道の階段にはドングリが多数。見上げると、長く直立する果序も見ることができました。
和泉市
信太山丘陵里山自然公園
西へ移動して和泉市。こちらも宅地域に隣接して、標高60mほどの丘陵が緑地として残されています。明治以降、陸軍や自衛隊の演習地であったことから開発から守られた土地なのだそう。2024年開園 した信太山丘陵里山自然公園。
「こもれび林」と名付けられた散策路。落葉樹が多い二次林でした。
湧水湿地や湿性草原が特徴。惣ヶ池湿地の看板。
優占種はアベマキ。直径20cmほどの個体も。
コナラも。わずかに残った葉。
アラカシ。
シロダモ。
カクレミノ。
かつては優占種だったアカマツ。大きい木は見当たりませんでした。
林床で目立ったモチツツジ。花期は森の主役。
通直な木が多く、気持ちよい林相でした。
聖神社
最後に、市内王寺町にある式内社、信太明神とも呼ばれる聖神社へ。かつての境内地は信太山丘陵の大半に及んでいたそうです。
広い参道から境内へ。
クスノキ。
アラカシ、スダジイ。
サカキ、ネズミモチ。
拝殿。奥に見える森には立ち入ることができませんでしたが、シリブカガシが優占する個所があるようです。行き当たることができず、残念。。かつて、周辺の宅地化による道路計画から守られた森とのこと。
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年末の散策はここまで。
